トップバッターは、マイナス人生オーケストラ。不穏な空気を巻き散らしまくりなSEに乗って、メンバーが1人ずつステージに登場。そのまま「High-Technology Sub-Culture」でライヴスタート……と思いきや、いきなりトラブル発生! 出鼻を挫かれてしまったものの、再開するなり怒濤の勢いで走り始めた。
ステージ上には和傘、万国旗、ピコピコハンマーなど、様々な小道具達がずらりと並べられている。そんな中、栗山“HaL”ヰヱスは、ニセ札をバラまいたり(子供銀行的なものなので犯罪ではありません)、大人のおもちゃをギターにあてがってみたり、ヤバい空気が全開だ。次に何をしでかすか分からないハラハラ感に包まれたまま、ライヴはどんどん勢いを増していく。 エレクトロと生音がせめぎあうキラーチューン「鳥人間たかし」を始め、彼らの曲は一度聴いたら頭から離れなくなるような中毒性を持つものばかり。ただ、そこに乗せられている言葉は、圧倒的に後ろ向きだ。しかし、それはライヴというアクティヴな場所になると、一気に前向きなエネルギーに転換される。「自爆妄想」で、HaLはフロアに降り「死ねって罵って(はぁと)」と観客の口に拡声器をあて、叫ばせた。“素っ頓教”という宗教の自己啓発セミナァというコンセプトを持つ彼らのライヴ。これは心の洗脳なのか、それとも魂の浄化なのか……それはあなたの感覚で確かめていただきたい。ただ、ひとつ残された事実は、彼らがステージを去った後、とんでもない熱気が会場中に立ちこめていたということだ。
2番手はチイサキモノ倶楽部。きょんきょん(犬神サアカス團)、じゅんろう君(SEX-ANDROID)、だいこちゃん(from 魔界)のベテラン3人組は、「We are Newcomer!!(訳:私達は新人です)」と客席の笑いを誘う。オール白塗り&平均身長150cmということもあって、マスコットキャラクターのような出で立ちで、なんだか可愛らしい。しかしMCでは、自分達の失敗を全て後輩のせいにするという大人げない発言をしたり、マイナス人生オーケストラが撒いたニセ札を集めて「これさ、マイナス銀行に持って行けばお金と変えてくれるんでしょ?」と、半端ない威圧感だ(笑)。
じゅうんろう君は赤いスーツ、だいこちゃんは緑のスーツという、ルパン三世のコスプレで、きょんきょんは淡い青色の着物を着て、とにかく歌って踊り続ける。途中で「自分のバンドよりも疲れるんだよね……普段ライヴで跳ねたりしないし」とこぼしてしまうぐらい、かなりの運動量だ。 また、チイサキモノ倶楽部の楽曲は、ハードコアテクノな「お願い屍だありん」、パンクチューンの「波間のデストロイ」、じゅんろう君とだいこちゃんの2人で披露した、トレンディーな言葉が並ぶクラブミュージック「ワン・ナイト・ラヴ」など曲調は様々だが、どこまでも突き抜けていくキャッチーさがある。特に「チイサキモノ体操」や「肉球パンチ」はかなりポップで、子供向けの教育番組で流してもOKなぐらいだ。しかし、そんな中でもちょっぴりR-15な香りがする独特の空気感で、終始オーディエンスを魅了していた。
大トリを務めたのは、Jin-Machine。オープニングSE「Anfang der Geschichte」が流れる中、登場してきたメンバー達は一度手にした楽器を早々と置いて、ヲタ芸を打ちまくる「妹コントローラ」へ。続く「ビジュアル音頭」ではジャパニーズ・サークルモッシュ(要するに盆踊りの輪のことです)がフロアに出現。featuring16とあっつtheデストロイがステージから降りて、オーディエンスを巻き込んで踊り狂う。そしてコントへ雪崩れ込み、「ビジュアル戦隊バンド麺」を披露と、「弦楽器の弦は1本でいいんじゃないか?」とMCで言ってしまうぐらい、演奏モードではない模様(笑)。その後も、1秒で終わるファストコアチューン「ゆずサワー」をアレンジして5回連続で叩き込み、元ネタの曲を一瞬交えつつの「セーフティードライバー、ハイ!」など、一気に駆け抜けていった。
前半から中盤にかけては笑いの数が多めだったが、後半は強烈なラウドナンバーを畳み掛けていく。モッシュ、ヘドバン、ジャンプでカオス状態になっているフロアを見て、「なんだか今日はホームみたいです!」と嬉しそうにしているメンバー達が印象的だった。 ラストナンバーは「さよならアキラメロン」。延々笑いで引っ張っておいて、最後は胸を撃つメッセージソングでキレイに締めるという、見事なまでに緩急をつけたライヴ構成は、彼らがイベントキラーとして覚醒し始めた事実を充分に感じさせるものだった。
文=山口哲生
撮影=大屋美和 |